1センテンスを洗礼させろ|”文章の書き方・直し方”の技術Basic編
この記事の目的・ゴール
- ここでは「文書作成=書く+直す」の”直す”にフォーカスを当てる
- “直す”ためのプロセスを理解し、実行することで品質の高い文章作成が可能となる
文章を書く際の心構えについては、こちらの記事を参照
要旨
- 文章を “直す” プロセスは以下の通り
- センテンスの骨組み再構築
- 文体の統一
- センテンスクォリティを上げる
3-1.センテンスのベースアップ - センテンスのチューンナップ・・・[Advanced編]
- 自分色を差し込む・・・[Advanced編]
1.センテンスの骨組み再構築
- 1文につき1メッセージが基本的な考え
- 長い文章は2つに分割する
- 分割の方法は、3ステップ
Step1. 主語と述語、修飾語(句)を把握する
Step2. 主語と述語だけで1文を作成する
Step3. 修飾語(主語と述語ではない部分)を後ろに移動させ、言い回しを調整する
[ 結論 ⇨ 経緯(理由)の順序となるように配置する ]
Step.1 主語と述語を把握する
A社の存在感が、経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことによって、高まりつつある。 主語:A社の存在感が 述語:高まりつつある。 修飾語:経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことによって、
Step.2 主語と述語だけで1文を作成する
- 主語と述語の生合成が取れていない場合は、文章が成り立たないので書き直す
A社の存在感が、高まりつるある。
Step.3 修飾語(句)を後ろに配置し、言い回しを調整する
- 結論⇨経緯(理由)の順序とする
A社の存在感が、高まりつつある。経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことが原因だ。
変更前と変更後の比較
変更前) A社の存在感が、経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことによって、高まりつつある。 変更後) A社の存在感が、高まりつつある。経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことが原因だ。
2.文体の統一
文体の確定
- 実用文においては、常体「だ・である調」か、敬体「です・ます調」のいずれかを使う
- 1つの文章内では、文体は統一させる。常体と敬体を混在させてはならない
常体「だ・である調」 特徴:歯切れがいい、明快 用途:事実を端的にのべる文章 e.g.報告書、企画書、議事録 等 敬体「です・ます調」 特徴:丁寧、親しみ安い 用途:思いを伝える文書 e.g.メール文面、手紙 等
話し言葉に注意
さっき ⇨ 先ほど 話してる ⇨ 話している、話す 聞いてる ⇨ 聞いている 文句 ⇨ 異論 いろんな ⇨ いろいろな すごく、すごい ⇨ とても 見れる ⇨ 見られる なので ⇨ だから、そのため ちゃんと ⇨ きちんと、しっかりと あんまり ⇨ あまり
子供っぽい表現に注意
思うので ⇨ 思いますので したいです ⇨ と思う、と考える 盛り上がる ⇨ 話が弾む、楽しむ 話してくれました ⇨ 話してくださいました、話していただきました
3.センテンスのクォリティを上げる
Step.1|センテンスのベースアップ
- チェックのポイントは以下10個
Check.1 意味のないことを削る
- 文字が多いほど読み手の負担となる
- 無くなっても意味が変わらない部分を削除する
ご指摘の点は、十分に検討を "行います。" ⇨ ご指摘の点は十分に検討します。 こちらの資料が本番用と "なります。" ⇨ こちらの資料が本番用です。 業績不振が "言われる中" 、リストラが断行された。 ⇨ 業績不振の為、リストラが断行された。 欧米では、"基本的に" 「共同親権」が一般的だ ⇨ 欧米では、「共同親権」が一般的だ
Check.2 過剰な説明を削る
- 修飾語が多いと要点が見えづらい
- 修飾語は1個か2個、多くて3個まで残しあとは削除する
NG 毎日のように様々な業界の方と接する営業の仕事は、好奇心が強く、知らないことをどんどん調べる性格の私に、向いてると思います。 OK 営業の仕事は好奇心、探究心ともに旺盛な私に向いてると思います。
Check.3 同じ言葉の重複を排除する
- 無条件にどちらかの言葉を削除する
NG 私が選んだ仕事は、広報として「伝える」仕事をしていくことです。 OK 私が選んだ道は、広報として「伝える」仕事をしていくことです。
Check.4 同じ意味の言葉を排除する
- 無条件にどちらかの言葉を削除する
開放的でオープンな雰囲気の家 ⇨ オープンな雰囲気の家 読んだ読者が魅力をもう一度再発見してくれるような記事 ⇨ 読者が魅力を再発見してくれるような記事 後で後悔しないように製造メーカーに問合せる ⇨ 後悔しないように製造元に問合せる
Check.5 「こと」「もの」を排除する
- 無条件に削除する
NG 小さなことと思って見過ごしていたものが、これほどの問題に発展することになるとは、夢にも思わなかった OK 軽視していた件が、これほどの問題に発展しようとは、夢にも思わなかった。
Check.6 「の」の連用は排除する
- 違う言葉に置き換えたりすることで排除する
離婚後の女性の生活の救済 ⇨ 離婚した女性の生活救済 重工業の工場の独特の景観 ⇨ 重工業プラントがもつ独特の景観
Check.7 「漢字」「ひらがな」「カタカナ」の連続を排除する
- 5文字以上連続することを避ける
今年の新人は、営業成績優秀だ ⇨ 今年の新人は、営業成績が優秀だ 反対を唱えるものが圧倒的多数派だ ⇨ 反対を唱えるものが圧倒的に多数派だ 弟は大手不動産会社営業部員だ ⇨ 弟は大手の不動産会社で営業部員を務めている
Check.8 回りくどい表現を排除する
- 文芸作品ではないので、二重否定や曖昧な肯定は避ける
責任問題にならないとも限らない ⇨ 責任問題になるだろう ベストを尽くすということが大切だ ⇨ ベストを尽くすことが大切だ その問題については、決着がついている ⇨ その問題は、決着がついている 予算化する方向で検討を進める ⇨ 予算化する検討を進める
Check.9 句読点を考え抜く
- 句読点の有無や位置によっては、読み手に複数の解釈を与えてしまう
- “意味の切れ目”に打つことを心がける
- これが正しいという絶対の正解はないが、読み手の立場で考え抜く
NG 私は、大学で建築工学を専攻し、その後、20年間、建築の仕事に就いています。 OK 私は大学で建築工学を専攻し、その後20年間、建築の仕事に就いています。
Check.10 「思う」という言葉はなるべく排除する
- ふた通りの使い方があるが、いずれの場合も実用文には適さない
①個人の判断・推測 ⇨ 誤った解釈を与えかねないので、「考える」などの表現に変える
②表現の和らげ・相手への気遣い ⇨ 曖昧な表現になるので、言い切る表現に変える
部長の判断は「ノー」だと思います・・・未来を推測してるのか、既に「ノー」の判断が下されたのか不明 ⇨ 部長の判断は「ノー」です 会議は10時から始まると思います・・・曖昧な表現は不要 ⇨ 会議は10時から始まります A案が妥当だと思われます・・・自信がない為の表現の和らげ、誰の意見かわからない ⇨ A案を採用すべきと私は考えます ⇨ A案を採用すべきと私は思います
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Basic編のまとめ
- センテンスの骨組み再構築
Step.1 センテンス内の主語と述語を把握する
Step.2 主語と述語で1文作成
Step.3 修飾語を後ろに配置(結論⇨経緯の順序) - 文体の統一
・常体、敬体どちらかに統一させ、混在させない
・話し言葉に注意
・子供っぽい表現に注意 - センテンスクォリティを上げる
3-1.センテンスのベースアップ
(1)意味のないことを削る
(2)過剰な説明を削る
(3)同じ言葉の重複を排除する
(4)同じ意味の言葉を排除する
(5)「こと」「もの」を排除する
(6)「の」の連用は排除する
(7)「漢字」「ひらがな」「カタカナ」の連続を排除する
(8)周りくどい表現を排除する
(9)句読点を考え抜く
(10)「思う」という言葉を排除する
Advanced編では、さらに文章の質をあげる内容について説明しています
・センテンスのチューンナップ
・自分色を差し込む
文章を書く際の心構えについては、こちらの記事を参照