1センテンスを洗礼させろ|”文章の書き方・直し方”の技術Basic編

この記事の目的・ゴール

  • ここでは「文書作成=書く+直す」の”直す”にフォーカスを当てる
  • “直す”ためのプロセスを理解し、実行することで品質の高い文章作成が可能となる

文章を書く際の心構えについては、こちらの記事を参照

要旨

  • 文章を “直す” プロセスは以下の通り
  1. センテンスの骨組み再構築
  2. 文体の統一
  3. センテンスクォリティを上げる
    3-1.センテンスのベースアップ
  4. センテンスのチューンナップ・・・[Advanced編]
  5. 自分色を差し込む・・・[Advanced編]

1.センテンスの骨組み再構築

  • 1文につき1メッセージが基本的な考え
  • 長い文章は2つに分割する
  • 分割の方法は、3ステップ
    Step1. 主語と述語、修飾語(句)を把握する
    Step2. 主語と述語だけで1文を作成する
    Step3. 修飾語(主語と述語ではない部分)を後ろに移動させ、言い回しを調整する
     [ 結論 ⇨ 経緯(理由)の順序となるように配置する ]

Step.1 主語と述語を把握する

A社の存在感が、経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことによって、高まりつつある。


主語:A社の存在感が
述語:高まりつつある。
修飾語:経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことによって、

Step.2 主語と述語だけで1文を作成する

  • 主語と述語の生合成が取れていない場合は、文章が成り立たないので書き直す
A社の存在感が、高まりつるある。

Step.3 修飾語(句)を後ろに配置し、言い回しを調整する

  • 結論⇨経緯(理由)の順序とする
A社の存在感が、高まりつつある。経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことが原因だ。

変更前と変更後の比較

変更前)
A社の存在感が、経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことによって、高まりつつある。

変更後)
A社の存在感が、高まりつつある。経営陣がユニークなマーケティング戦略を駆使し、激しい競争に勝ち残ったことが原因だ。

2.文体の統一

文体の確定

  • 実用文においては、常体「だ・である調」か、敬体「です・ます調」のいずれかを使う
  • 1つの文章内では、文体は統一させる。常体と敬体を混在させてはならない
常体「だ・である調」
 特徴:歯切れがいい、明快
 用途:事実を端的にのべる文章 e.g.報告書、企画書、議事録 等

敬体「です・ます調」
 特徴:丁寧、親しみ安い
 用途:思いを伝える文書 e.g.メール文面、手紙 等

話し言葉に注意

さっき     ⇨ 先ほど
話してる    ⇨ 話している、話す
聞いてる    ⇨ 聞いている
文句      ⇨ 異論
いろんな    ⇨ いろいろな
すごく、すごい ⇨ とても
見れる     ⇨ 見られる
なので     ⇨ だから、そのため
ちゃんと    ⇨ きちんと、しっかりと
あんまり    ⇨ あまり

子供っぽい表現に注意

思うので     ⇨ 思いますので
したいです    ⇨ と思う、と考える
盛り上がる    ⇨ 話が弾む、楽しむ
話してくれました ⇨ 話してくださいました、話していただきました

3.センテンスのクォリティを上げる

Step.1|センテンスのベースアップ

  • チェックのポイントは以下10個

Check.1 意味のないことを削る

  • 文字が多いほど読み手の負担となる
  • 無くなっても意味が変わらない部分を削除する
ご指摘の点は、十分に検討を "行います。" ⇨ ご指摘の点は十分に検討します。

こちらの資料が本番用と "なります。" ⇨ こちらの資料が本番用です。

業績不振が "言われる中" 、リストラが断行された。 ⇨ 業績不振の為、リストラが断行された。

欧米では、"基本的に" 「共同親権」が一般的だ ⇨ 欧米では、「共同親権」が一般的だ

Check.2 過剰な説明を削る

  • 修飾語が多いと要点が見えづらい
  • 修飾語は1個か2個、多くて3個まで残しあとは削除する
NG
毎日のように様々な業界の方と接する営業の仕事は、好奇心が強く、知らないことをどんどん調べる性格の私に、向いてると思います。

OK
営業の仕事は好奇心、探究心ともに旺盛な私に向いてると思います。

Check.3 同じ言葉の重複を排除する

  • 無条件にどちらかの言葉を削除する
NG
私が選んだ仕事は、広報として「伝える」仕事をしていくことです。

OK
私が選んだ道は、広報として「伝える」仕事をしていくことです。

Check.4 同じ意味の言葉を排除する

  • 無条件にどちらかの言葉を削除する
開放的でオープンな雰囲気の家 ⇨ オープンな雰囲気の家

読んだ読者が魅力をもう一度再発見してくれるような記事 ⇨ 読者が魅力を再発見してくれるような記事

後で後悔しないように製造メーカーに問合せる ⇨ 後悔しないように製造元に問合せる

Check.5 「こと」「もの」を排除する

  • 無条件に削除する
NG
小さなことと思って見過ごしていたものが、これほどの問題に発展することになるとは、夢にも思わなかった

OK
軽視していた件が、これほどの問題に発展しようとは、夢にも思わなかった。

Check.6 「の」の連用は排除する

  • 違う言葉に置き換えたりすることで排除する
離婚後の女性の生活の救済 ⇨ 離婚した女性の生活救済

重工業の工場の独特の景観 ⇨ 重工業プラントがもつ独特の景観

Check.7 「漢字」「ひらがな」「カタカナ」の連続を排除する

  • 5文字以上連続することを避ける
今年の新人は、営業成績優秀だ ⇨ 今年の新人は、営業成績が優秀だ

反対を唱えるものが圧倒的多数派だ ⇨ 反対を唱えるものが圧倒的に多数派だ

弟は大手不動産会社営業部員だ ⇨ 弟は大手の不動産会社で営業部員を務めている

Check.8 回りくどい表現を排除する

  • 文芸作品ではないので、二重否定や曖昧な肯定は避ける
責任問題にならないとも限らない ⇨ 責任問題になるだろう

ベストを尽くすということが大切だ ⇨ ベストを尽くすことが大切だ

その問題については、決着がついている ⇨ その問題は、決着がついている

予算化する方向で検討を進める ⇨ 予算化する検討を進める

Check.9 句読点を考え抜く

  • 句読点の有無や位置によっては、読み手に複数の解釈を与えてしまう
  • “意味の切れ目”に打つことを心がける
  • これが正しいという絶対の正解はないが、読み手の立場で考え抜く
NG
私は、大学で建築工学を専攻し、その後、20年間、建築の仕事に就いています。

OK
私は大学で建築工学を専攻し、その後20年間、建築の仕事に就いています。

Check.10 「思う」という言葉はなるべく排除する

  • ふた通りの使い方があるが、いずれの場合も実用文には適さない
    ①個人の判断・推測 ⇨ 誤った解釈を与えかねないので、「考える」などの表現に変える
    ②表現の和らげ・相手への気遣い ⇨ 曖昧な表現になるので、言い切る表現に変える
部長の判断は「ノー」だと思います・・・未来を推測してるのか、既に「ノー」の判断が下されたのか不明
 ⇨ 部長の判断は「ノー」です

会議は10時から始まると思います・・・曖昧な表現は不要
 ⇨ 会議は10時から始まります

A案が妥当だと思われます・・・自信がない為の表現の和らげ、誰の意見かわからない
 ⇨ A案を採用すべきと私は考えます
 ⇨ A案を採用すべきと私は思います

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Basic編のまとめ

  1. センテンスの骨組み再構築
    Step.1 センテンス内の主語と述語を把握する
    Step.2 主語と述語で1文作成
    Step.3 修飾語を後ろに配置(結論⇨経緯の順序)
  2. 文体の統一
    ・常体、敬体どちらかに統一させ、混在させない
    ・話し言葉に注意
    ・子供っぽい表現に注意
  3. センテンスクォリティを上げる
    3-1.センテンスのベースアップ
     (1)意味のないことを削る
     (2)過剰な説明を削る
     (3)同じ言葉の重複を排除する
     (4)同じ意味の言葉を排除する
     (5)「こと」「もの」を排除する
     (6)「の」の連用は排除する
     (7)「漢字」「ひらがな」「カタカナ」の連続を排除する
     (8)周りくどい表現を排除する
     (9)句読点を考え抜く
     (10)「思う」という言葉を排除する

Advanced編では、さらに文章の質をあげる内容について説明しています
・センテンスのチューンナップ
・自分色を差し込む

文章を書く際の心構えについては、こちらの記事を参照